2026年9月14日更新
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リメンバー・ミーは賞を取っている?
第90回アカデミー賞 長編アニメーション賞・主題歌賞。
大切な人やペットを見送ってしばらく経つと、悲しみとは別の怖さが出てきます。声の感じが少しずつ曖昧になる。思い出す回数が減っていることに、ある日ふと気づく。ピクサーの『リメンバー・ミー』(原題『Coco』、2017年)は、その怖さに正面から触れる映画です。原題はひいおばあちゃんの名前ですが、アンクリッチ監督は、日本での題を『リメンバー・ミー』にしたのはそれが作品の重要なテーマだからだ、と話しています。
「さよならを言う話」として作りかけて、途中でやめた映画
アンクリッチ監督によると、最初に組み立てていたのは、主人公が悲しみを乗り越え、愛する人に別れを告げる物語だったそうです。ところがメキシコの死者の日を調べるうちに、それは祭りの考え方とまるで逆だと気づいた。死者の日は、さよならを言わないための日だからです。制作チームは3年をかけてメキシコ各地の市場や墓地、工房を回り、家族の家に招かれて食事や暮らしを教わっています。監督は、死者の日は嘆く日ではなく祝う日で、亡くなった家族を思い出し、そばに置いておくためのものだと説明しています。
喪失を扱う物語の多くは、受け入れて、手放して、前へ進む、という方向に向かいます。この映画はその道を一度作りかけて、捨てました。周りから「そろそろ前を向いたら」と言われるたびに、忘れろと言われているようで苦しくなる人がいます。そういう人にこの映画が効くのは、この作り直しがあったからです。手放さなくていい悼み方を、最初から最後まで描いています。
ヘクターの骨がぐらつくのは、写真が無いからではなく、覚えている人が減っていくから
この映画のルールは、少し誤解されやすいところがあります。共同監督のエイドリアン・モリーナの説明では、生者の国で誰にも思い出されていない、つまり誰も祭壇に写真を飾っていない死者は、年に一度の橋を渡って家族に会いに行けません。写真はあくまで「会いに行けるかどうか」の条件です。
一方、死者の国の骸骨たちは、どれだけ覚えられているかによって体のまとまり方が変わるように描き分けられています。担当アニメーターはこれをゴムにたとえていて、よく覚えられている人ほどゴムが張り、忘れられかけている人ほど緩む、と話しています。ヘクターの骨がすぐ外れてしまうのはそのためです。
亡くした人を思い出す回数が減ってきたことに、罪悪感を覚えている人もいると思います。ただ、この映画は忘れていく人を責めてはいません。記憶が薄れていくママ・ココについて、監督は、本人の記憶が遠のいていっても、彼女はいつも愛する人たちに囲まれている、と語っています。何世代もが同じ家で暮らすメキシコの家庭を訪ねて、そう描きたくなったそうです。覚えていることは、ひとりで背負う義務ではなく、家族の中で分け合うものとして描かれています。
同じ歌が、二度目にはまったく違う意味で聞こえてくる
主題歌「リメンバー・ミー」を書いたクリステン・アンダーソン=ロペスとロバート・ロペスは、アンクリッチ監督から、場面と編曲によって二つの違う意味になる同じ一曲を書けないか、と頼まれたそうです。最初に聞こえるのは、スターが喝采を浴びる派手なマリアッチの歌。同じ旋律が、物語の後半で本来の意図のまま歌われると、離れた誰かに自分を覚えていてほしいと願う、静かな歌に変わります。誰が誰に向けた歌なのかは、観て確かめてください。
夫妻には、仕事で離れるたびに家に残してくる幼い娘が二人いて、その寂しさを重ねたと話しています。そしてこの曲は、ロバートの母親の葬儀で、彼自身によって歌われました。いまでは、身内の葬儀でこの歌を歌ったという連絡が届くそうです。
終盤の涙は、筋書きの悲しさだけから来るものではありません。一度は派手な歌として聞き流していた旋律が、意味を変えて戻ってくる。その反転に不意を突かれます。泣きたい夜に選ぶなら、確実に泣ける一本です。ただし、亡くしてまだ日が浅く、思い出すこと自体がつらい時期には、この場面は強すぎるかもしれません。少し時間が経ってからのほうが、受け取れるものが多いはずです。
犬のダンテが、毛のないショロイツクインクレである理由
ミゲルについて回る犬のダンテは、メキシコの国犬ショロイツクインクレです。犬種の名は、アステカの神ショロトルと、犬を意味する言葉に由来します。アンクリッチ監督は、アステカの人々は、死者の町にたどり着くまでの険しい旅には犬、それもショロ犬を連れていく必要があると信じていた、と話しています。
ペットを亡くした人がこの映画を観ると、ダンテの存在は少し特別に見えるはずです。作品の土台には、犬は死者の旅の道連れで、その旅を助けてくれる存在だという古い信仰があります。この子はいまどこにいるのだろう、と考えてしまう夜に、そういう見方が昔からあったと知っているだけで、気持ちの置き場所が少し変わります。
この記事で触れた事実の出典
この記事は2026/09/13に作成しました。制作補助として生成AIを使って執筆しており、掲載内容の責任はSERENNOA運営者のながみーにあります。配信状況は各サービスでご確認ください。制作体制と選定の考え方は運営者情報に書いています。
この作品について
音楽を禁じられた家に生まれた少年ミゲルは、死者の国に迷い込み、家族の秘密と「忘れられない限り、人は本当には死なない」という真実に出会う。メキシコの死者の日を舞台にしたピクサーの傑作。
- ✦第90回アカデミー賞 長編アニメーション賞・主題歌賞
- ✦Filmarks 4.2・レビュー26万件(2026年8月時点)








